このお話は、ファンのシンさんの投稿第二弾に、ももこが勝手にイメージを挿入
したり少し追記したりしてアップするものです。
この 第4話《令子の計略》からは副題を原作の《罠》から《令子の計略に》変え
終盤からは内容を変えて続けています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
座薬を入れて三日目から出血が止まり、排便時の痛みも消えた。
女医は「また来るように」と言ったが、めぐみはとうとう行かなかった。
一ヶ月後、学校からの帰り道で、偶然に深見令子という女医と再会した。
「あれから診察に来ないから、ちょっと心配だったんだけど・・・・・・」
と言われ、その窘(たしな)めるような視線に思わず身を竦(すく)め、ぴょこんと頭
を下げてしまっためぐみだったが、それは、めぐみの側にも後ろめたさがあった
からだ。
「すみません・・・・・・。
お薬をいただいてから、出血は止まったので、安心して・・・・・・」
とめぐみが申し訳なさそうに言うと、
「そうなの。じゃあ、あの座薬が効いたのね。だったら良かった。」
と美しく装った女医は目を和ませて言った。
それから学校帰りと明らかに分かる、通学鞄とサブバッグを提げている少女の全身
を眺め、何気ないふうな言葉を口にした。
「もし時間があるのなら、夢見山公園までドライブしない?」
「え?あの、そんな・・・・・・」 思いがけない誘いだった。
たった一度診察を受けただけの医師からそんなことを言われて承諾する患者は少な
いだろう。
しかし、相手は同性で、しかも気品のある美女だ。
車は外国製のスポーツカーで天気は良く、帰宅しなければならない時間まで四時間
はたっぷり空いている。
「心配ご無用。帰りはお家まで送ってあげる。さあ、乗って」
めぐみがその誘いを断れなかったのは、やはり二度目の診察をすっぽかしたとい
う後ろめたさがあったからだった。
気が付いた時、めぐみは助手席に座ってシートベルトを着けていた。
深見令子はギアを入れ、アクセルペダルを強く踏んだ。
めぐみの体はバケットシートにグンと押し付けられた。乗り心地は最高だった。
この運転手(ドライバー)は優れた運動神経の持ち主だ。
ピカピカ光る深紅の高級外車はスイスイと先行車を追い抜いて行く。
めぐみは不思議な高揚感を味わった。
夢見山市街を一望に見下ろす夢見山は高度が三百五十メートル。
その頂上一帯が市立公園になっていて、展望台と広い駐車場がある。
春秋の休日は近隣からの行楽客で賑わうが、平日のその日はガラガラだった。
令子はポツンと置かれていたピンク色の軽自動車の横に車を駐(と)めた。
軽自動車のドアが開き、女性が出てきた。
一ヶ月前、めぐみが診察を受けた時の看護師、岩崎弓子だった。
深見令子と岩崎弓子は、ここで待ち合わせていたようだ。
「道を訊いたら、この前の患者さんだったのよ。
ここまで道案内してもらったの。」
「あらあら、それは偶然ですね。こんにちは、山中さん。
その後は大丈夫なの?」 「ほら、岩崎さんも心配してる。」
女医は悪戯(いたずら)っぽく笑って言った。
一日に彼女たちが診察する患者は何十人もいるのではないだろうか。
どうして一ヶ月も前に受診した自分の名前までしっかり覚えられているのだろう?
めぐみは不思議に思った。
「肛門科に来る人で若い人は少ないの。大抵(たいてい)三十代以上。
山中さんはセーラー服を着た女子高生だし、おまけにとっても可愛い子だから、
どうしたって印象に残ったのよ。」
少女の疑問を感じ取ったのか、岩崎弓子が説明する言葉を口にした。
白衣を脱いだ弓子は今日はノースリーブの白い軽やかなワンピースで、それが風
になびくとやはり女優のような印象だった。
それは、この前は束ねていた長めの髪を解(ほど)いて肩に垂(た)らしているせいか
もしれない。
年齢は違うがこの二人、深見令子と岩崎弓子は似たようなタイプ―顔立ちのしっか
りした、体格の良い、均整の取れた肢体を持つ美人だということが分かる。
「今日は二人とも非番だから、ここの展望台で昼食(ランチ)を食べて、
少しドライブしてみようという計画だったの。
もちろんお弁当はたっぷり作ってきたから山中さんの分もあるわよ。
さあ、行きましょう」
眺めの良い展望台のテラスにはテーブルとベンチが並べられている。
大抵(たいてい)は売店で買った軽食を食べるが弁当持参の行楽客もちらほら居る。
その一角で、心地よい微風に肌をなぶらせ、それぞれ年代の違う三人の女性たちは、
サンドイッチの弁当を食べた。
飲み物は弓子がサーモに入れてきたコーヒーに、缶入りのオレンジジュースだ。
おしゃべりの合間に、深見令子は自分が肛門科の医師になったのは、父親がこの
町で肛門科の病院を経営している医師だったからだとめぐみに説明した。
今も週に一日は父親の病院で診察を受け持ち、いずれは後を継いで院長になる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここから先は、フィクションとは言え原作では犯罪的な行為が展開されていまし
たので、投稿者のシンさんとももこの合作により、原作を尊重しつつ原作とは
異なるストーリ展開に変えさせていただきます。
原作に興味がお有りの方はこちらを参考になさってください)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
弁当を食べ終わって雑談を交わしていると、深見令子は思い出したように再び
めぐみを窘(たしな)める視線で問いただした。
「あなたあの直腸に出来た傷の原因は知っているわよね」
と問われためぐみは思わず身を竦(すく)め「はい」とだけ答えた。
「やっぱりね だから次の診察をすっぽかしたのね
いえ 責めているのではないのよ 私は薬を使いきっても診察に
来なかったあなたのことが心配だったのよ。」
「先生の心配も知らず本当に ごめんなさい」
めぐみは令子がそこまで自分の心配をしてくれたことが嬉しかった。
「謝ることはないわ でもね直腸に出来た外傷は経過観察が重要なのよ
今日は休診日だけど これから病院に行って診察してあげる いいわね」
「はっ はい お願いします」
としか返事できなかっためぐみだったが、これまでの後ろめたさが消えた安心感
からか、めぐみはフーッと体が揺れるような睡魔に襲われた。
「あら、どうしたの?気分が悪いの?さあ、立って。車に戻りましょう」
めぐみは女医の深見令子と看護師の岩崎弓子に抱きかかえるように支えられ、駐
車場に戻って後部座席に乗せられると同時に、スーッと眠り込んでしまった。
( 第5話《過剰診察》へ続く)
したり少し追記したりしてアップするものです。
この 第4話《令子の計略》からは副題を原作の《罠》から《令子の計略に》変え
終盤からは内容を変えて続けています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
座薬を入れて三日目から出血が止まり、排便時の痛みも消えた。
女医は「また来るように」と言ったが、めぐみはとうとう行かなかった。
一ヶ月後、学校からの帰り道で、偶然に深見令子という女医と再会した。
「あれから診察に来ないから、ちょっと心配だったんだけど・・・・・・」
と言われ、その窘(たしな)めるような視線に思わず身を竦(すく)め、ぴょこんと頭
を下げてしまっためぐみだったが、それは、めぐみの側にも後ろめたさがあった
からだ。
「すみません・・・・・・。
お薬をいただいてから、出血は止まったので、安心して・・・・・・」
とめぐみが申し訳なさそうに言うと、
「そうなの。じゃあ、あの座薬が効いたのね。だったら良かった。」
と美しく装った女医は目を和ませて言った。
それから学校帰りと明らかに分かる、通学鞄とサブバッグを提げている少女の全身
を眺め、何気ないふうな言葉を口にした。
「もし時間があるのなら、夢見山公園までドライブしない?」
「え?あの、そんな・・・・・・」 思いがけない誘いだった。
たった一度診察を受けただけの医師からそんなことを言われて承諾する患者は少な
いだろう。
しかし、相手は同性で、しかも気品のある美女だ。
車は外国製のスポーツカーで天気は良く、帰宅しなければならない時間まで四時間
はたっぷり空いている。
「心配ご無用。帰りはお家まで送ってあげる。さあ、乗って」
めぐみがその誘いを断れなかったのは、やはり二度目の診察をすっぽかしたとい
う後ろめたさがあったからだった。
気が付いた時、めぐみは助手席に座ってシートベルトを着けていた。
深見令子はギアを入れ、アクセルペダルを強く踏んだ。
めぐみの体はバケットシートにグンと押し付けられた。乗り心地は最高だった。
この運転手(ドライバー)は優れた運動神経の持ち主だ。
ピカピカ光る深紅の高級外車はスイスイと先行車を追い抜いて行く。
めぐみは不思議な高揚感を味わった。
夢見山市街を一望に見下ろす夢見山は高度が三百五十メートル。
その頂上一帯が市立公園になっていて、展望台と広い駐車場がある。
春秋の休日は近隣からの行楽客で賑わうが、平日のその日はガラガラだった。
令子はポツンと置かれていたピンク色の軽自動車の横に車を駐(と)めた。
軽自動車のドアが開き、女性が出てきた。
一ヶ月前、めぐみが診察を受けた時の看護師、岩崎弓子だった。
深見令子と岩崎弓子は、ここで待ち合わせていたようだ。
「道を訊いたら、この前の患者さんだったのよ。
ここまで道案内してもらったの。」
「あらあら、それは偶然ですね。こんにちは、山中さん。
その後は大丈夫なの?」 「ほら、岩崎さんも心配してる。」
女医は悪戯(いたずら)っぽく笑って言った。
一日に彼女たちが診察する患者は何十人もいるのではないだろうか。
どうして一ヶ月も前に受診した自分の名前までしっかり覚えられているのだろう?
めぐみは不思議に思った。
「肛門科に来る人で若い人は少ないの。大抵(たいてい)三十代以上。
山中さんはセーラー服を着た女子高生だし、おまけにとっても可愛い子だから、
どうしたって印象に残ったのよ。」
少女の疑問を感じ取ったのか、岩崎弓子が説明する言葉を口にした。
白衣を脱いだ弓子は今日はノースリーブの白い軽やかなワンピースで、それが風
になびくとやはり女優のような印象だった。
それは、この前は束ねていた長めの髪を解(ほど)いて肩に垂(た)らしているせいか
もしれない。
年齢は違うがこの二人、深見令子と岩崎弓子は似たようなタイプ―顔立ちのしっか
りした、体格の良い、均整の取れた肢体を持つ美人だということが分かる。
「今日は二人とも非番だから、ここの展望台で昼食(ランチ)を食べて、
少しドライブしてみようという計画だったの。
もちろんお弁当はたっぷり作ってきたから山中さんの分もあるわよ。
さあ、行きましょう」
眺めの良い展望台のテラスにはテーブルとベンチが並べられている。
大抵(たいてい)は売店で買った軽食を食べるが弁当持参の行楽客もちらほら居る。
その一角で、心地よい微風に肌をなぶらせ、それぞれ年代の違う三人の女性たちは、
サンドイッチの弁当を食べた。
飲み物は弓子がサーモに入れてきたコーヒーに、缶入りのオレンジジュースだ。
おしゃべりの合間に、深見令子は自分が肛門科の医師になったのは、父親がこの
町で肛門科の病院を経営している医師だったからだとめぐみに説明した。
今も週に一日は父親の病院で診察を受け持ち、いずれは後を継いで院長になる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここから先は、フィクションとは言え原作では犯罪的な行為が展開されていまし
たので、投稿者のシンさんとももこの合作により、原作を尊重しつつ原作とは
異なるストーリ展開に変えさせていただきます。
原作に興味がお有りの方はこちらを参考になさってください)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
弁当を食べ終わって雑談を交わしていると、深見令子は思い出したように再び
めぐみを窘(たしな)める視線で問いただした。
「あなたあの直腸に出来た傷の原因は知っているわよね」
と問われためぐみは思わず身を竦(すく)め「はい」とだけ答えた。
「やっぱりね だから次の診察をすっぽかしたのね
いえ 責めているのではないのよ 私は薬を使いきっても診察に
来なかったあなたのことが心配だったのよ。」
「先生の心配も知らず本当に ごめんなさい」
めぐみは令子がそこまで自分の心配をしてくれたことが嬉しかった。
「謝ることはないわ でもね直腸に出来た外傷は経過観察が重要なのよ
今日は休診日だけど これから病院に行って診察してあげる いいわね」
「はっ はい お願いします」
としか返事できなかっためぐみだったが、これまでの後ろめたさが消えた安心感
からか、めぐみはフーッと体が揺れるような睡魔に襲われた。
「あら、どうしたの?気分が悪いの?さあ、立って。車に戻りましょう」
めぐみは女医の深見令子と看護師の岩崎弓子に抱きかかえるように支えられ、駐
車場に戻って後部座席に乗せられると同時に、スーッと眠り込んでしまった。
( 第5話《過剰診察》へ続く)